鼻腔の上にある嗅粘膜には、約500万個の嗅細胞があります。1個の嗅細胞がもつ受容体は1種類。その受容体に合う構造のにおい物質に反応します。
▲匂いを嗅ぎわけるチカラ
何の匂いかを識別するチカラをさします
▲匂いを検知するチカラ
薄い匂いでも気が付くかどうかのチカラ
▶加齢による嗅覚の衰え
60歳代、女性では70歳代(アメリカ)から有意に嗅覚低下を認めたという結果がでています。50歳代から徐々に嗅覚が低下していくといわれています。
▶副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などによる嗅覚の衰え:気導性嗅覚障害
匂いの分子が嗅細胞に届かなくなるために、匂いを感じにくくなります。鼻の上のほうには、匂いを感じる粘膜(嗅粘膜)があり鼻で空気を吸い込んだ時に入ってくる匂い分子がポリープなどに阻害されて匂いを感じる嗅粘膜まで到達しないことで匂いが分からなくなり嗅覚障害が起こります。
▶風邪のウイルス、骨折など嗅細胞が傷ついて匂いを感じなくなる:嗅神経性嗅覚障害
風邪などに嗅覚の衰え(感冒後嗅覚障害)
風邪が治っても匂いがわからない状態になることがあります。これはウイルスが嗅粘膜、嗅神経にダメージを与えてる状態になっていて匂いがわからなくなっています。また骨折や強い脳震盪といった頭部外傷によって嗅神経が切れてしまい匂いがわからなくなることもあります。
▶頭部の外傷や脳梗塞、アルツハイマー型認知症などの脳神経の変化による嗅覚の衰え:中枢性嗅覚障害
頭部外傷や脳出血、脳梗塞、アルツハイマー、パーキンソン病など脳神経に変化が起こってくる病気で匂いがしなくなることがわかってきました。アルツハイマー型認知症は最近の研究では初期に嗅覚障害があり、認知症の予防や早期発見、治療に応用されてきています。
高齢になってくると「匂いがわかりずらい」「何もにおわない」という嗅覚の低下が報告されています。しかし耳が聞こえない、難聴、など他の器官に比べると嗅覚は年齢による老化の影響をうけにくいと言われています。
まだ、嗅覚障害はそれほど意識もされず自覚されない方も多いのが事実です。
ただ、近年の研究で嗅覚の衰えは「アルツハイマー型認知症」との関係が多くの研究がおこわなわれています。
アルツハイマー型認知症では匂いがするのはわかるけれど何の匂いかが判別できない(認知閾値)の低下が言われています。
しかし嗅覚は他の感覚器官とは異なり再生する可能性があるため、日ごろから匂いを意識したり効果的な香りをかぐことで認知症予防にもつながる優秀な器官です。
視力検査、聴力検査はあるのに嗅覚検査は健康診断にありません。なぜでしょうか?これほどあらゆることに通じている嗅覚なのに不思議です。
・何を食べてもおいしくない、味がしない
・食欲が落ちてきた
・焦げが匂いやコーヒーやカレーといった香りの強いものも感じなくなった
・生活臭や季節の匂いなど感じなくなっている